牛タンさばきかた講座〜。

牛タンスライス。

というわけで、リクエストもあったことですし、まとめてみよう!ということで、感謝祭期間のひまを利用して、写真撮影を兼ねて((いままでさんざん撮りためた写真は意外と肝心なところが写ってなかったのです.....)また1本さばいてみました。
BSE怖いねー、という話もないことはないのですが、それを言っているとアメリカでは生活できません。牛肉&そのエキスぬきで生活するのはかなり大変です。ということで、気にしないことにします。

ところで、今回は、はっきり言って「すぷらった」な世界ですので、「続きを読む」をセットしておきました。血に弱い方やお食事中の方はやめといたほうがよいと思います。そういうえげつない写真が40枚弱ありますので......(汗)
※ご意見ご感想ご質問はコメント欄へどうぞ。

洗いましょう


こちらで買える牛タンは、こんな感じでパックされてます。アメリカ的なオーガニック食品スーパー(Central Market)と、中華系スーパー(Mei Hua)のどちらで買っても、こんな感じです。パッケージの印刷(ビニール)を見る限り、同じ業者から仕入れている雰囲気です。



これを、まずは、袋から出して、水洗いして血を流します。
その後、塩(荒塩がよさげ)をがーーーーーっとまぶして、もみこむようにしながら、汚れをとります。血は、タンの中に含まれている血管の中に残留しているので、もむと出てくることがあります。できるだけ取り除いたほうがよいと思います。残ったままだと、焼くときに血の塊が血管から出てきたりして、あんまり気持ちよいものではありません。

舌の下を切り取ります


洗ったあとの牛タンです。付け根が右側なのですが、付け根に向かうに従って、かなり太くなってます。自分自身の舌の裏がどうなってるか考えればすぐに理解できるのですが、要は、舌の付け根の筋肉部分が一緒についてきてるわけです。



これは、牛タンの付け根の断面を横からみたところです(ちょっと暗くてごめんなさい)。この写真の上部がいわゆる牛タンで、下が、「付け根」です。これは普通の牛タンスライスでくっついてこない箇所です。実は、脂肪もかなり入り込んでいる部分でもあります。というわけで、がっさり切り取ってしまいます。でも、これはこれできちんと処理して煮込んだりするとおいしいので、捨てないでね。あとで処理しますから。



というわけで、この写真の位置で、がさっと切り落とします。この時の注意は2つ。1つは、タン本体と、下の「付け根」の部分の分かれ目を指でさぐって把握すること。分かれ目はちゃんとへこんでますので、触ればすぐにわかります。2つめは、その「分かれ目」から包丁を入れるのですが、「タンの形を考慮して(パッキングの都合で結構よじれている)包丁をいれる」こと。売ってる牛タンスライスは割とまん丸ですよね?ということで、包丁を入れる際には、単純にスパッとまっすぐに切り下ろすのではなく、タン本体の外周をたどるように入れましょう。



これは、切ってる途中です。指先の位置が、タン本体と、「付け根」の部分の分かれ目です。根元側では結構はっきり分かれます。が、しかし、タンの先端側になると、付け根から伸びている筋肉がタン本体に吸収されていくので、そうもいきません。仕方ないので、先端側は気にしないようにしましょう。



切り取りました。裏側(下)から見た写真です。



こちらは、真横から見た写真です。
切り落とした「付け根」はその辺に置いといてください。すぐに処理しますので冷蔵までは不要です。

先っぽはタンシチュー行きです。


牛タン1本の内訳は、付け根から1/2が上タン(すっごく脂のってる)、さらに1/4が普通のタン、残り1/4(先端)が脂全然のってないし薄くて焼肉には適さない部分、です。こういう部分は、すっぱり切り落として、タンシチュー行きです。



断面です。ほら、脂のってないでしょ?
これはちょっとその辺においといてください。またすぐ後で処理します。

本体を軽く冷凍します。


タン本体は、まだまだ皮がのこってます。が、ここまで処理すればすぐに実感しますが、あまりにやわらかくて、皮をはぐのが一苦労なのです。また同様に、やわらかすぎて、スライスも大変です。ということで、少し固めるために、冷凍します。
こんな感じでラップでくるんで.......



冷凍庫に形を整えて入れます。このとき、なるべく、断面が長方形に近くなるようにすると、後で皮をはぐ(そぎ切り)ときに楽です。
このまま、冷蔵庫の強度にもよりますが、1時間〜1時間半ぐらいでいい感じになると思います。あんまりやりすぎると、中まで固まってしまい、せっかくの生のタンが台無しですのでお気をつけて。まぁ、とはいっても、硬めのほうが、切りやすいので、冷凍具合の加減はご自由に。

付け根の分解。


本体を冷凍している間に、「付け根の部分」を処理します。
まずはもう一度よく洗います。



見ると、はっきりいって、脂肪だらけです。これをそぎ落とします。先端のとがった、ぺティナイフがおすすめです。そぎ落とすだけでなく、先端で、脂肪の膜をひっかけてはがしたりもできるからです。



がんばると、こんな感じで、筋肉が3本とれます。正確には、真ん中のやつの付け根(上側)から、両側二本がわかれる形になると思うのですが、その通りにやるとかなり作業的につらいので、すっぱり切ってしまいました。この3本は、作業を始める前に指でなぞって探してみてください。結構はっきりわかると思います。
ちなみに、左側は、取り除かれた脂肪とくず肉部分です。右上は使ったぺティナイフ。

「付け根」と「先端」をゆでこぼします。




なべにお湯をわかして沸騰させ、「付け根」と「先端」をまとめて放り込み、ゆでこぼします。



かなりすごい勢いであくがでますが、お湯の量が十分であれば(肉にあくがからまなければ)、そのままひたすらゆでちゃって大丈夫です。結構脂肪が多いので、ここでしっかり落としておくと後々よさげなので。

「先端」の皮をむきます。




先端部分に火が通った(ある程度硬くなった)ら、先端だけ取り出します。付け根はそのままぐらぐら煮ててかまいません。あくがからまないようにすることだけ気をつけましょう。



熱くて触れないので、水で冷やします。



まずは、端を切り落とします。



こんな感じになります。



これは立てて上からみた感じ。



皮と肉の間(のやや肉側)に歯をたてるようにして、皮をそぎ落とします。



一発で切ろうとすると肉もかなりそぎとってしまうので、無理せずに、端が残るぐらいでいいです。残った部分もきれいにとります。



こんな感じになります。裏も同様に処理したあとに、再び鍋にもどします。

ゆでこぼし終了。




こんな感じになります。
あとは好きにしてください。タンシチューもいいですが、私は、しょうゆとみりん他で煮込んで、豚の角煮みたいな感じにするのが好きです。

本体の皮をむきます。


さて、タン本体がそれなりに硬めな感じになったら、冷凍庫から取り出し、皮をはぎましょう。



まずは、両側面をばさっと切り落とします。初めての場合は、直線的に切り落とすと楽です。でもこれはちょっと肉がもったいないので、慣れてきたら、包丁を回り込ませるようにして、皮につく肉を少なくするようにすることもできます。



こんな感じになります。



続いて上面。包丁を差し込んで皮をすこしはがして手でつまめるぐらいになったら、手で皮を上に引き上げながら、包丁を流し込んでいくと、割とうまく皮が引けます。



こんな感じになります。
断面がきれいな赤身(+若干の脂肪)なのに注意してください。皮は白っぽいので、皮が残っていると、結構目立ちます。この写真では、本体の右上に大きいのが、右下の角にわずかな切れ端が残ってます。また、裏側の皮は冷凍前にむけているはずですが、それでも角の部分とかが少し残っていると思います。焼いたときの食感は最悪なので、きっちりとりましょう。



皮がしっかりとれたら、スライスします。うちは、会社の人から安価で譲り受けたスライサーを使ってますが、ある程度硬めに凍らせていれば、手切りでもなんとかなると思います(あんまり硬いと今度は歯がたたなくなりますが......)。

完成!




できました!
写真は、一番おいしそうなところだけ並べたところです。実際は、この皿で換算すると、4〜6枚分ぐらいはあります。

おまけ:味噌漬けにします。


一人で食うには量が多すぎるのですが、ほっとくと悪くなってしまうこともあって、味噌漬けにするようにしてます。
味噌は、適当な味噌を適当な液体でとかして練ったものです。今回は、冷蔵庫に転がっていた八丁味噌白味噌を、飲み残しの赤ワインと飲み残しのコロナビールとみりんで溶いて練りました。これを、薬局で買ってきたガーゼに、軽く塗ります。はっきりいって、かなり薄いのですが、これで十分です。



さらにその上にもう一枚ガーゼをのせます。



その上に牛タンスライスをのせます。
こうすることで、味噌が直接肉につかず、焼くときに味噌がこげる心配もありません。
さらにこの上に、味噌をはさんだガーゼと牛タンを繰り返し乗せていき、密閉して冷蔵庫で保存します。2〜3日後からOKです。経験則的には2週間ぐらいは大丈夫みたいです。

疲れた

結局、一連の工程が全部おわるまで、2時間ほどかかりました。間に冷凍待ちの時間もあることはあったのですが、晩御飯つくりながらの作業だったのでかなりあわただしかったのがちょっと敗因でした。
しっかし、台所のシンクや、使った包丁が血まみれで、かなりえぐい光景です。万一このタイミングで警察がきたらなんと言い訳しましょうか、っていう感じです。
はふ。

ご意見ご感想つっこみご質問はコメント欄にどうぞ♪